だるまとジョセフ

ちょっと資格試験の勉強があったため、週末はお出かけせずにいました。
なのできょうはだるまとシロメの友人にまつわるお話でも・・・。


昨日、前にいた会社のアメリカ本社に勤めるジョセフからメールが来ました。

やぁシロメ!元気?
前日本に行った時一緒に浅草に行ったよね?あの時買っただるまを覚えてる?
最近ふと目について、ガイドブックを引っ張り出してその時のメモを読んで見たんだ。
シロメがだるまについて説明してくれた時のメモだよ。こう書いてあったよ。

「ダルマは僧侶で壁に向かって8年座禅を続けた人。願いが叶った時に目を描く(黒で!)」

そういえば僕はあれからいい妻にめぐり逢えて素敵な息子もできた。
すっかり忘れてたけどもう目を入れてもいい頃だよね。目を描いたら写真を送るよ!
このメールが届くといいけど・・。シロメに幸運がありますように!

(※注:本当は9年だけど僕はそう説明したらしい)


ジョセフが日本支社のサーバーの設定を手伝いに来たのは2001年、ちょうどNYのテロが起こった直後のことでした。滞在中はほとんど彼と行動を共にし、仕事のノウハウを山ほど教わりました。それらの知識は今でも僕の基礎になってます。彼はとても親切で礼儀正しく、思いやりのある男でした。
「シロメ、エンジニアにとって大切な事が2つある。スマートであることと、自信があることだ。お前は十分スマートだが、もっと自分に自信を持ちなさい。」
今まで色んな上司や先輩に会いましたが、これだけはっきり覚えているのは彼の言葉ぐらいです。


休日は東京を案内しました。浅草で見ただるまに、彼はとても興味を示しました。
「シロメ、このおもちゃは何だい」
「これはだるまと言って、ネバーギブアップのシンボルなんだよ」
僕はだるまを指で押して、倒れずに起き上がる様子を見せました。どうもそのネバーギブアップがとても気に入ったようで結局それをおみやげにしました。


浅草からの帰り道、おぼろげな達磨大師の記憶や祈願成就すると目を入れる風習を教えると・・
「えっと目は何色で描けばいいの?」
「そりゃぁ・・我々は黒で描くけど、あなたの目は青いから青でもいいんじゃないかなぁ」
目を何色で描くのかという疑問がとても新鮮で驚いた記憶があります。


彼のメールを読んで気がつきました。達磨を飾る2つの意味。一つは片目だけを入れることで、自分の目標をはっきりさせる事。もう一つは、不屈の精神を忘れないようにする事。倒れても倒れても立ち上がるという、人生に対する態度。彼のメールが大切な事を思い出させてくれました。思えば今年は、祈願が成就しなかった年でありました。しかし、それでも立ち上がって、来年は願いを成し遂げたい。


ふとカレンダーを見ると、彼と一緒に仕事をしたのはちょうど8年前の今頃。達磨が壁に向かって座っていたのとほぼ同じ期間が過ぎました。どういう意味を込めて、彼はメールを送って来たのかな。
ジョセフ、ありがとう。来年はきっと、一緒に釣りに行こう。
ネバーギブアップ。頑張るぜ。

                    シロメ